最近、返済額がじわっと増えてきていて……。売上は変わらないのに、なぜか資金繰りが楽にならないんです
中小企業の経営者の方から、ここ半年ほどで特に増えている相談です。
ニュースでは金利上昇と一言で言われますが、実際の現場では、すべての会社が同じように苦しくなるわけではありません。金利が上がっても平然としている会社もあれば、わずか0.25%の上昇で一気に資金繰りが不安定になる会社もあります。
違いは、経営努力の大小ではなく会社の構造にあります。
今回は、実務の現場から見えてくる金利上昇に弱い会社の特徴を整理します。
① 借入依存度が高く、自己資本が薄い会社
最も影響を受けやすいのは、借入金が多く、自己資本比率が低い会社です。
売上規模が大きくても、 ・設備投資をほぼ全額借入で賄っている ・運転資金も常に借入に頼っている ・繰り延べ返済を繰り返している
このような状態だと、金利が0.5%上がるだけで、年間の支払利息が数十万〜数百万円単位で増えます。
利益率の低い業種では、この増加分を吸収できず、実質的な減益になります。
帳簿上は黒字でも、現金が残らない状態が続くと、資金繰りは急速に悪化します。
② 短期借入・変動金利が中心の会社
借入の内容も重要です。
・短期借入が多い ・変動金利型が中心 ・金融機関の見直しが頻繁に入る
このような会社は、金利上昇の影響をダイレクトに受けます。
一方で、 ・長期固定金利 ・返済期間が長い ・返済額が安定している
こうした借入構造の会社は、同じ金利上昇局面でも影響は限定的です。
どれだけ借りているかだけでなく、どういう条件で借りているかが会社の耐久力を左右します。
③ 利益率が低く、価格転嫁ができない会社
金利上昇はコスト増です。
本来であれば、 ・販売価格を上げる ・サービス料金を見直す ことで吸収するのが理想です。
しかし、 ・価格競争が激しい ・大手の下請けで単価交渉ができない ・顧客が価格に敏感
このような業態では、コスト増を売上に転嫁できません。
結果として、利益だけが削られていきます。
忙しいのに儲からない状態が続き、資金繰りだけが徐々に苦しくなっていく典型パターンです。
④ 設備投資の回収が長期化している会社
近年は、 ・IT投資 ・大型設備投資 ・店舗拡張 などを積極的に行う会社も多くあります。
問題は、その回収期間です。
投資の回収が10年単位になると、 ・借入残高が高止まり ・元金がなかなか減らない ・金利上昇の影響を長期間受け続ける
という構造になります。
計画通りに売上が伸びていれば問題ありませんが、少しでも想定を下回ると、資金繰りは一気に不安定になります。
⑤ 経営者が資金繰りを感覚で見ている会社
意外に多いのがこのタイプです。
・預金残高が減ってきたら不安になる ・税金や返済はその時に考える ・資金繰り表を作っていない
金利上昇局面では、いついくらどの返済がどれだけ増えるかを把握していない会社ほど、対応が遅れます。
気付いたときには、 ・リスケ交渉 ・追加融資の依頼 ・支払遅延
といった選択肢しか残っていない、というケースも珍しくありません。
まとめ:金利上昇は“経営体質テスト”
金利の上昇そのものは、どの会社にも平等に起こります。
しかし、苦しくなるかどうかは、 ・借入構造 ・利益率 ・資本の厚み ・資金管理の精度
といった経営体質で決まります。
もし、 ・最近、資金繰りの余裕がなくなってきた ・返済額の増加が気になっている ・このままで大丈夫か不安
と感じている場合、それは早めの見直しサインかもしれません。
状況によっては、借入の組み換え、事業整理、法人の整理・再生といった選択肢が現実的になることもあります。
一人で抱え込まず、数字を整理したうえで、専門家と一度冷静に確認するだけでも、打てる手は大きく変わります。
大阪周辺の中小企業の経営者の方で、資金繰りや今後の選択肢に不安がある場合は、早めのご相談も一つの方法です。
問題が小さいうちほど、選べる道は多く残っています。
弁護士 川端元樹