無償の場合
自己破産を申し立てる前に,自己名義の財産について,妻名義に名義変更を行うことは財産隠しになり,許されません。
例えば,自己名義の銀行預金を引き出して,妻名義の口座へ移したり,自己名義の生命保険の契約者を妻に変更した場合,破産申立後,破産管財人が否認権を行使し,妻へ,預金や保険の返却を求めることになります。
また,直前の財産隠しになるため,破産法上,免責不許可事由になり,免責が認められない可能性があります。
この場合の問題点は,将来,債権者の配当に回る可能性のある財産を積極的に減少されているところにあります。
有償の場合
では,夫から妻へ財産を移転する際,対価を支払ってはどうでしょうか。
例えば,妻にも収入があり,蓄えもあるような場合,自己名義の自動車について,妻へ,適正な時価で売却をし,かつ妻から夫へ,自動車の売買代金の支払いを行うのであれば,後に否認というような話は出てきません。
後に,適正な時価であることが確認できるよう,相見積もりを取っておき,かつ,お金の流れについて,妻名義の口座から,夫名義の口座へ振り込みを行い,検証できるようにしておくことが肝要です。