会社や法人が破産手続きに入ると、「破産財団」という専門的な言葉が必ず登場します。破産財団とは、破産した企業が持つ財産をまとめて管理し、債権者への弁済に充てるための「財産の集合体」のことです。言い換えれば、会社の資産を公平に整理するための「共同の財布」のような仕組みです。
破産手続では、この破産財団をどのように形成し、どの順序で配当していくかが重要なポイントになります。この記事では破産財団の基本的な定義から実際の手続きの流れ、従業員絵の影響について解説します。
破産財団とは?法人と個人事業主の破産での基礎知識
破産手続きに入ると必ず出てくるのが「破産財団」という考え方です。破産財団とは、破産した法人や個人事業主が持つ財産をまとめて管理し、債権者へ公平に弁済するための「財産のまとまり」を指します。法人でも個人事業主でも、この「財産のまとまり」が手続きの中心となり、どの財産が含まれるのか、どのように処分されるのかが重要なポイントになります。
破産財団の定義と財産の範囲
破産財団とは、破産手続開始の時点で破産者(法人または個人)が有する財産の総体を指します。これらの財産は、債権者に対する配当の原資として充てられます。破産財団の管理・換価(現金化)および処分を行うのは、裁判所によって選任された破産管財人です。
法人破産の場合、会社が所有するすべての財産が破産財団に属します。たとえば、現金や預貯金、事業用の機械設備・在庫商品・売掛債権・不動産などに加え、特許権や商標権といった知的財産権も含まれます。また、破産手続開始後に破産管財人が回収した売掛金や、財産の売却代金なども破産財団に帰属します。
一方、個人事業主が破産する場合には、事業用資産だけでなく個人の生活用財産も原則として破産財団に含まれます。ただし、個人の場合は「自由財産」の制度により、生活に通常必要な一定の財産は破産財団から除外され、破産者が引き続き保持できます。これは法人破産との大きな違いといえるでしょう。
破産財団に属する財産の評価は、破産手続開始時の時価によって行われます。そのため、取得時に高額であった設備でも、現在の市場価値が下落していれば、その時点の低い価値で評価されます。長年事業を営んできた方にとっては、思い入れのある資産が想定より低く評価されることもあり、心理的な負担を感じる場合もあります。
事業用資産の取り扱いと破産管財人の役割
破産手続き開始後、裁判所が選任する破産管財人が破産財団の管理および処分を担当します。破産管財人は弁護士が務めることが一般的で、破産者全体の利益を代表し、財産を適切に換価(現金化)し、公平な配当を実現する重要な役割を担います。
事業用資産の処分方法は資産の種類や市場価値によって異なります。通常、機械設備や車両などの動産は専門業者による査定を経て売却されます。不動産は不動産鑑定士による評価後、競売もしくは任意売却により換価されます。在庫商品については、一括で業者に売却する場合と個別に処分する場合があります。
売掛債権の回収も破産管財人の重要な業務の一つであり、取引先への請求や交渉を行い、可能な限り回収を試みます。ただし、取引先の経営状況が厳しい場合は回収困難となることもあるため、すべての売掛金が回収できるわけではありません。
破産管財人は財産処分のみならず、破産に至った経緯の調査も重要な仕事です。特に法人の場合は、代表者の経営判断、資金の流れ、関係者への財産移転の有無などを詳細に調査します。この調査に基づき代表者に損害賠償請求や否認権の行使がなされる可能性があります。
個人事業主の場合も事業資産の処分および債権回収が行われますが、生活への影響を考慮して進められることが多いです。自宅兼事務所として使用されていた不動産などは居住継続の必要性に配慮して処分時期が調整されることがあります。
自由財産との区別|法人と個人の違い
法人破産と個人破産(個人事業主を含む)では、財産の取り扱いに根本的な違いがあります。最大の違いは「自由財産」の有無です。
■ 法人破産
【自由財産の有無】
自由財産はありません。
会社が保有する財産はすべて破産財団に組み込まれます。
【対象となる財産】
会社が所有するすべての財産が対象。
例:現金、売掛金、設備、車両、不動産、在庫、知的財産権など。
【代表者個人資産への影響】
原則、会社と代表者の財産は別扱いのため影響はありません。
ただし、代表者が金融機関等の「個人保証」をしている場合は、代表者自身が個人破産を検討する必要があります。
■ 個人破産(個人事業主を含む)
【自由財産の有無】
自由財産制度があります。
破産開始時に、生活再建に必要な一定の財産は手元に残せます。
【対象となる財産】
事業用資産に加え、個人の生活用財産も対象となります。
ただし、自由財産制度により一定の財産は破産財団から除外されます。
【個人資産への影響】
個人の財産が直接手続きの対象となります。
個人事業主の場合、事業用資産も含まれるため影響範囲が広くなります。
法人破産では、法人格が消滅するため、法人の財産はすべて破産財団に組み込まれ、換価(現金化)して債権者に配当されます。代表者個人の財産は原則として影響を受けませんが、代表者が法人の債務に対して個人保証している場合は、個人破産や別の債務整理手続きが必要になります。
個人破産においては、破産手続開始時に所有する財産のうち、生活に必要な最低限の財産(自由財産)を手元に残せます。具体例として、現金99万円以下、生活に必要な衣類・家具、仕事に必要な道具類などです。また、破産手続開始後に得た収入(新得財産)も自由財産として保護されます。
特に個人事業主の場合、事業用資産と生活用財産の区別が重要です。たとえば、自宅の一部を事務所として使用している場合、事業用部分は破産財団に属しますが、居住部分は自由財産として保護される可能性があります。ただし、実際には複雑な判断が必要であり、専門家による見解が求められます。
パソコンや車両についても、仕事に不可欠で価値が低い場合は自由財産として認められることがありますが、原則として高額資産は破産財団の財産とされ処分されます。
破産手続きは専門的でわかりにくく、特に事業を行っている場合は財産の整理が複雑になるため、自分だけで判断するのは難しい場合が多くあります。手続きに詳しい弁護士へ相談し、適切な助言を受けることが大切です。
財団債権と破産債権の違いと支払い順位
破産手続では、債権が「財団債権」と「破産債権」に分けられ、それぞれ支払いの優先順位が大きく異なります。この仕組みを理解していないと、「なぜ自社の債権が後回しになるのか」「どの債権が優先されるのか」といった疑問が生じ、手続き全体の見通しが立てにくくなります。
財団債権は破産手続きの運営に必要な費用や従業員の未払い賃金など、最優先で支払われる債権です。これに対して破産債権は、破産財団から配当を受ける一般の債権で、原則として平等に扱われます。以下、詳しく解説します。
財団債権と破産債権の基本的な違い
破産手続きにおける債権は、大きく「財団債権」と「破産債権」の2種類に分類されます。この違いを理解することが、破産手続きの全体像を把握する上で欠かせません。
■ 財団債権
【支払いタイミング】
破産手続き開始後も、必要に応じて随時支払われます。
【支払いの優先度】
最優先で弁済される債権で、原則として全額支払われる可能性が高いです。
【具体例】
・破産管財人の報酬
・裁判所に支払う費用
・従業員の給与や退職金の一部
・税金・社会保険料 など
■ 破産債権
【支払いタイミング】
財産の換価(売却・回収)後、破産財団から配当という形で分配されます。
【支払いの優先度】
財団債権の支払い後に弁済されます。
配当を受けられないケースや、一部のみの弁済に留まるケースが多いです。
【具体例】
・銀行からの借入金
・買掛金
・売掛金
・破産手続き開始前に発生した一般の債権 など
財団債権は、破産手続きを進めるために必要となる費用や、破産者の生活に関わる重要な支払いを指します。破産法では、これらの債権は特に重要とされ、破産手続きとは別に、ほかの債権より優先して随時支払われる仕組みになっています。
一方、破産債権は、破産手続きが始まる前から存在していた一般的な債権です。これらは破産財団の財産を換価したうえで、その残りを「配当」として分配する形で支払われます。ただし、財団の財産が不足している場合は、全額が支払われないことも多く、部分的な弁済にとどまるケースも少なくありません。
経営者として注意したいのは、従業員の未払給与や税金の滞納分などは財団債権に分類される点です。これらは破産手続きが始まった後も優先的に支払われるため、一定の支払い義務が続くことを理解しておく必要があります。特に、破産財団の管理費用や公的な支払いと同様に、優先度が高い扱いになります。
債権の支払い順位を理解しよう
破産手続における債権の支払い順位は、破産法などの法律で明確に定められています。この順位を正しく理解することにより、どの債権者が優先的に支払いを受けるかが把握できます。
支払い順位は以下の通りです。
【最優先】財団債権
1.破産手続に直接必要な費用(破産管財人の報酬、裁判所への予納金など)
2.労働債権(破産手続開始前3か月以内の従業員の未払い給与・一部の退職手当)
3.租税債権(納期限到来から1年未満の国税・地方税及び社会保険料)
【次に優先】優先的破産債権
未払いの労働債権の残部や退職金、特定の取引先からの債権などが含まれ、財団債権の弁済が終わった後に弁済されます。
【一般】一般破産債権
一般の取引債務や銀行借入金など、優先権のない債権です。
【最下位】劣後的破産債権
破産手続き開始後に生じた利息や遅延損害金、株主の配当請求権などが含まれます。
実際の配当においては、上位の債権が全額弁済されて初めて次の順位の債権者に配当が行われます。したがって、破産財団の資産が不足している場合、下位の債権者は配当を受けられない可能性が高いです。
この支払い順位制度は、労働者や国など社会的に保護すべき債権者を優先的に保護し、リスクを承知して取引を行った一般債権者(金融機関や取引先など)の順位を下げることで、公平性を確保する仕組みとして機能しています。
従業員給与や税金、取引先債務の扱い
破産手続では、従業員への給与・税金・取引先への債務がそれぞれ異なる優先順位で処理されます。これらの仕組みを理解しておくことは、破産手続開始前の適切な対策を考えるうえで重要です。
■ 従業員の給与・退職金
従業員への給与は、破産手続開始前3か月分の給与と、退職金の一部が財団債権として扱われ、優先的に支払われます。
例:4月に破産手続が開始した場合 → 1〜3月分の給与が財団債権。
ただし、それ以前の給与は「優先的破産債権」となり、配当の対象になります。退職金についても保護されるのは一部のみで、全額ではありません。
■ 税金・社会保険料の滞納
税金や社会保険料の滞納分は、法律に基づく強制徴収権があるため、原則として財団債権になります。そのため、破産手続開始後も支払い義務が続きます。
なお、滞納処分の執行停止など、徴収が一時的に猶予される場合もあります。
個人事業主の場合、事業をやめても個人としての納税義務は残る点にも注意が必要です。
■ 取引先への債務
買掛金・借入金・リース料など、取引先への債務は破産債権として処理されます。
破産財団の残余から配当されますが、配当率は数%〜十数%程度と低くなることが一般的です。
■ 連帯保証人がいる場合
法人の負債に連帯保証人がついている場合は、会社が破産しても保証人(多くは代表者)が返済義務を負い続けます。そのため、法人破産とあわせて代表者個人の債務整理を検討するケースが少なくありません。
これらの処理は複雑で、誤った判断が大きな不利益に直結する可能性があります。早めに破産手続に詳しい弁護士へ相談し、従業員や取引先への影響を最小限に抑えながら適切な対応を進めることが重要です。
破産手続の流れと財団債権の弁済実務
破産手続は、「破産財団の形成」から「債権者への弁済」まで、法律に基づいた明確な流れのもとで進められます。その中でも特に重要なのが、破産財団の維持に必要な費用や従業員の給与などが含まれる財団債権の扱いです。財団債権は一般の破産債権より優先して支払われるため、正確な判断と適切な実務対応が求められます。
法人と個人事業主の破産手続きの流れ
破産手続の基本的な流れは法人・個人事業主で共通していますが、いくつかの重要な違いがあります。法人の場合、多くは取締役会などの意思決定機関で破産申立ての決議を行い、裁判所に申立てをします。個人事業主の場合は、事業主本人の意思に基づき直接裁判所に破産申立てができます。
申立て後、裁判所が破産手続開始決定を下すと、原則として破産管財人(裁判所が選任する弁護士)が選任されます。破産管財人は破産者に代わり、財産の調査・管理・換価、債権者との調整や配当の業務を行います。
手続期間はケースバイケースですが、通常は6か月から1年程度かかることが多く、財産が少ない場合は同時廃止事件として短期間で終了することもあります。法人破産では、破産手続終了時に法人格は消滅し、全ての財産は清算されます。一方、個人事業主の場合は事業廃止と同時に借金の免責を受けることが可能です。
破産手続中は、破産者自らが財産を自由に処分することはできず、すべて破産管財人の管理下に置かれます。これは債権者の利益を守るための法的な措置です。
財団債権の弁済タイミングと実際の配当
財団債権とは、破産手続において、破産財団から他の債権に先立って優先的に弁済される債権をいいます。これは、一般の破産債権とは異なる扱いを受けます。具体的には、破産手続に要する費用(裁判所への予納金、破産管財人報酬など)、破産手続開始後に生じた一定の債務(たとえば破産管財人が事業継続のために締結した契約上の債務)、従業員の給与・退職金の一部、租税債権などが該当します。
これらの財団債権は、破産財団から「随時」弁済されることになっており、必ずしも破産手続の終了を待つ必要はありません。弁済の時期は、破産管財人が財団の資金状況を踏まえ、適当と認める時期に行われます。特に従業員の未払給与などは、労働者保護と権利の観点から、手続きの初期段階で優先的に支払われるケースが多いといえます。
破産財団の財産が換価(現金化)された後は、まず財団債権に対する弁済が優先的に行われます。その残余金がある場合に限り、破産債権者への配当原資となります。配当率は事案によって大きく異なりますが、中小企業の破産では数パーセント程度にとどまることも少なくありません。これは、換価財産が債務総額に比して少額である場合が多いためです。
なお、財団債権であっても、破産財団の財産が不足している場合には全額の弁済を受けられないことがあります。このような場合を「財団債権不足」といい、その際は管財人が債権者間の調整など特別の処理を行う必要があります。
配当不足の場合の対応方法
破産手続において最も深刻な状況の一つに、財団債権すら満足に弁済できない「財団不足」があります。この場合、破産管財人は裁判所に財団債権不足の報告を行い、「異時廃止」の決定を申し立てることが通常です。これによって破産手続は途中で終了し、従業員の未払い給与や税金などの優先的財団債権であっても、一部しか弁済されないか、場合によっては全く弁済されない可能性があります。
財団不足が判明した場合の対応策としては、複数の選択肢が考えられます。まず、債権者や関係者による追加資金の提供や、破産者や関係者所有の他財産を破産財団に組み入れることで配当原資の確保を試みる方法があります。ただし、これらの措置が実現するのは必ずしも容易でなく、結果的に破産手続の廃止(異時廃止)に至るケースも多いのが現実です。
従業員対応では、労働者健康福祉機構が実施する「未払賃金立替払制度」を活用することが重要です。この制度により、未払いの給与や退職金の一部について国の立替払いを受けられる場合がありますが、支給要件や支給額には制限があるため、詳細を事前に確認する必要があります。
税金・社会保険料の債務は、配当不足により完済できなくなることがあります。法人の場合は法人格消滅により原則債務が消滅しますが、個人事業主の場合でも破産手続免責決定を得ることで、これらの債務から免責されるのが一般的です。
法人破産や事業主の破産における注意点
法人破産や個人事業主の破産は、債務整理の中でも影響範囲が特に広く、従業員、取引先、代表者個人の生活にまで影響が及ぶことがあります。特に中小企業の場合、代表者が個人保証をしているケースが多く、法人の債務について個人的な責任を負っている状況がほとんどです。また、従業員の雇用や取引先との関係、さらには破産後の人生設計まで含めて、総合的に検討する必要があります。ここでは、法人破産や事業主の破産で特に注意すべきポイントについて解説します。
代表者個人や家族、保証人への影響
法人破産において最も深刻な影響を受けるのは、代表者個人およびその家族です。中小企業の代表者の多くは、金融機関からの借入に際して個人保証(連帯保証人)をしていることが一般的です。そのため、法人が破産しても、個人保証債務は法人破産によって消滅せず、代表者は個人として債務の返済義務を負います。
法人が支払い不能となった時点で、債権者は保証人である代表者に対して一括返済の請求を行うため、その金額が代表者の個人資力を大幅に超える場合、代表者自身が個人破産(自己破産)の申立を検討せざるを得なくなります。
家族への影響も重要です。代表者名義の住宅に抵当権が設定されていた場合、担保不履行による競売を通じて住居を失うリスクがあります。また、配偶者が連帯保証人であったり、家族名義の資産が実質的に事業資金として利用されていた場合、家族も法的責任を負う可能性が生じます。
さらに、代表者以外の第三者保証人(親族や知人など)がいる場合も同様で、法人破産後に債務の履行責任がこれら保証人に移転し、人間関係にも深刻な影響を及ぼすことが多いです。
従業員や取引先への対応
法人破産は、従業員の雇用にも大きな影響を及ぼします。破産手続きが始まると、原則として全従業員との雇用契約は終了し、多くの従業員が職を失うことになります。ただし、破産管財人が必要と判断した場合は、一部の従業員を残し、会社の整理や清算業務に従事させることもあります。
未払い給与や退職金は優先して支払われる性質の債権ですが、破産財団の状況によっては全額が支払われない可能性があります。
未払い賃金については、労働者健康福祉機構が運営する「未払賃金立替払制度」を利用することで、国から一定額の立替払いを受けられる場合があります。ただし、支払われる金額や対象期間には制限があり、全額を補えるわけではありません。
破産は取引先にも大きな影響を与えます。売掛金や前受金、継続的な取引関係はすべて破産手続の対象となり、特に前金を受け取っている場合や預かった商品がある場合には、早期に適切な対応を行うことで損失の拡大を防ぐ必要があります。
さらに、破産の情報が広がると取引先の信用不安を招き、連鎖的な倒産リスクに発展するおそれもあります。そのため、破産申立ての時期や情報の公表については、弁護士と相談しながら進め、できる限り取引先への影響を抑える配慮が重要です。
破産後の再出発に向けた準備
法人破産後は法人格が消滅し、法人の債務は消滅しますが、代表者個人が個人保証をしている場合はその債務は残ります。代表者本人が個人破産(自己破産)を行った場合は、裁判所から免責許可決定を受けることで法的に債務の返済義務が免除され、経済的な再出発が可能になります。
ただし、免責許可決定を受けるためには一定の条件があり、免責不許可事由(浪費や財産隠匿など不誠実な行為)がある場合は免責を得られないこともあります。また、破産中及び免責決定後も、職業制限や資格制限が課されることがあり、一定期間は特定の職業に就くことができません。さらに、信用情報に破産・免責の記録が残るため、新たな資金調達や信用の回復に時間を要する場合があります。
再出発を成功させるには、破産手続きの段階から将来の事業計画を具体的に検討しておくことが重要です。これまでの経験や専門知識を活かせる分野、初期投資を抑えたビジネスモデル、家族や周囲の支援環境など、現実的かつ持続可能な計画を立てる必要があります。
まとめ
会社や法人が破産手続に入ると、まず中心的な役割を担うのが「破産財団」です。この破産財団には、会社が所有する現金、売掛金、在庫、不動産、設備、知的財産権など、原則としてすべての財産が含まれます。会社の財産は破産手続が開始すると、代表者が自由に動かすことはできず、すべて破産管財人の管理下に置かれます。これは、ある特定の債権者だけが優先的に回収することを防ぎ、すべての債権者を公平に扱うための重要な仕組みです。
また、破産手続では「財団債権」と呼ばれる債権が優先的に支払われます。これは、破産管財人の報酬や裁判所費用、従業員の給与の一部、税金など、破産財団の維持や破産者の生活に関わるため、特に重要です。財団債権がすべて弁済された後、残った財産が一般の債権者(破産債権者)に配当されますが、財産が不足する場合、破産債権は一部しか支払われないことも多くあります。
法人破産や事業主の破産は、手続きが複雑なだけでなく、その影響が及ぶ範囲が広いため、従業員や取引先への配慮が欠かせません。川端総合法律事務所は、法人破産や個人事業主の破産の専門家として、メールや電話でのご相談を無料で受付しています。ぜひお早めにご相談ください。