会社経営が行き詰まり、倒産や自己破産を検討せざるを得ない状況に直面した経営者の方々にとって、次に何をすべきか、どのような手続きをするべきか、大きな不安があるのではないでしょうか。この記事では、法人破産と自己破産の違い、手続きの流れ、そしてそれぞれがもたらす影響について詳しく解説します。
会社倒産と自己破産の違いとは?
会社倒産と自己破産は、どちらも債務整理の一形態ですが、その手続きや対象となる人物、影響などに大きな違いがあります。会社倒産は法人としての経済的破綻に対する手続きであり、自己破産は個人が借金返済不可能となった場合の手続きです。ここでは、会社倒産と自己破産の違いを詳しく解説し、それぞれの手続きがどのような状況で適用されるかを説明します。
自己破産と法人破産の違いを理解する
自己破産と法人破産は、どちらも借金問題を法的に解決するための手続きですが、対象となる人や手続きの内容、手続き後の影響などに大きな違いがあります。違いを正しく理解することで、状況に応じた適切な選択ができるようになります。ここでは、両者の違いについて詳しく解説します。
1. 対象となるのは誰か
・自己破産
自己破産は、個人が利用する手続きです。自分自身の借金が返済できなくなった場合に、裁判所に申立てを行い、借金の免除(免責)を受けて経済的な再出発を目指します。
・法人破産
法人破産は、会社などの法人が利用する手続きです。会社が経営破綻し、債務を返済できない場合に、会社の財産を整理・換価して債権者に配当し、法人としての清算を行います。
2. 破産手続きの目的
・自己破産
主な目的は、個人の借金を免除してもらい、生活の再建を図ることです。裁判所による免責決定が下されると、原則として全ての借金が免除されます。ただし、税金や養育費など一部免責されない債務もあります。
・法人破産
法人破産の目的は、会社の財産を整理し、債権者に公平に配当することです。法人破産手続きが終了すると、会社は解散し、法人格が消滅します。法人の場合は「免責」という手続きはなく、会社の財産をもって清算を行います。
3. 破産手続きの流れ
・自己破産
申立て後、裁判所が個人の財産や負債の状況を調査し、免責の可否を判断します。免責が認められれば、借金は原則として全額免除されます。高額な不動産や貴金属などは処分の対象となりますが、生活に必要な財産(99万円以下の現金や生活必需品など)は一定範囲で保護されます。
・法人破産
申立て後、裁判所が会社の資産や負債を調査し、破産管財人が選任されます。破産管財人は会社の財産を管理・換価し、得られた資金を債権者に配当します。会社の資産がすべて処分されると、法人格が消滅し、会社は解散となります。合わせて、納税の義務も消滅します。
4. 代表者や役員への影響
・自己破産
本人が免責されれば、借金の返済義務はなくなります。ただし、信用情報機関に破産歴が約5年間登録され、その間は新たな借入やクレジットカードの利用が制限されるなどの社会的影響があります。また、官報に掲載されます。
・法人破産
法人破産によって会社自体は消滅しますが、代表者や役員が会社の債務の連帯保証人となっている場合、法人破産後も個人として返済義務が残ることがあります。その場合、代表者個人も自己破産を検討する必要があります。また、破産管財人による調査で、資産隠匿や不適切な取引などの不正行為が判明した場合、代表者や役員が法的責任を問われることがあります。
5. 手続き後の影響
・自己破産
破産手続き後は、一定期間(通常5年程度)信用情報機関に記録が残り、金融機関からの新規の借入やローン契約が難しくなります。
・法人破産
破産手続が終結し、完了すると法人破産後は会社が消滅します。一般的に、代表者や役員の個人信用情報には直接影響しませんが、保証人となっている場合は個人の信用情報にも影響が及びます。また、法人破産の事実が他の事業活動や取引に影響を与えることもあります。
6. 法人破産ならではの注意点
法人破産では、代表者や役員の責任追及リスクがあるほか、破産管財人による厳格な調査が行われます。不正な資産隠匿や債権者を不利益にする行為があった場合、詐害行為取消や損害賠償請求などの法的措置を受けることがあります。法人破産を検討する際は、弁護士や税理士など、法律の専門家のアドバイスを受けながら慎重に進めることが重要です。
自己破産と法人破産は、いずれも経済的に困難な状況から立ち直るための法的手続きですが、対象や手続き内容、手続き後の影響などに大きな違いがあります。どちらの手続きにも専門的な知識が必要なため、検討する際は必ず弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
会社倒産の種類とその特徴
会社が倒産する原因にはさまざまなものがありますが、倒産手続きには大きく分けて「法的整理」と「私的整理」があります。法的整理は裁判所を通じて行う手続きで、さらに「清算型」と「再建型」に分類されます。企業の財務状況や経営状況によって、適切な手段を選択することが重要です。ここでは、代表的な法的倒産手続きの種類とその特徴について解説します。
1. 破産手続き(清算型)
法人破産は、企業が資産よりも負債が上回り、支払い不能となった場合に行われる法的手続きです。破産手続きが開始されると、会社は事業を続けることを断念し、財産を清算します。破産管財人が選任され、会社の財産を管理・換価し、債権者に公平に分配します。経営者が個人保証をしている場合、個人資産が差し押さえられることもあります。
2. 民事再生手続き(再建型)
民事再生は、企業が経営危機に陥ったものの再建を目指す場合に利用される法的手続きです。会社は事業を継続しながら債務整理を進め、再建計画を策定して債権者の同意を得ます。債務の一部が減額されたり、返済条件が緩和されることがあります。主に中小企業で利用されることが多い手続きです。
3. 会社更生手続き(再建型)
会社更生は、主に大企業が利用する再建型の倒産手続きです。裁判所の監督のもとで経営権が一時的に管財人に移り、再建計画を策定して債権者と調整します。経営陣の交代や資産売却が行われることもあり、複雑かつ大規模な再建を目的としています。
4. 特別清算(清算型)
特別清算は、主に株式会社の解散時や親子会社間の整理などで利用される清算型の手続きです。会社の事業が終了した後に、裁判所の関与のもとで清算人が負債を整理し、資産を適正に分配します。破産と異なり、債権者との協議を通じて比較的円滑に清算が進むことが特徴です。
5. 私的整理(参考)
上記の法的整理以外にも、裁判所を介さずに債権者と直接協議して債務整理を行う「私的整理」という方法もあります。私的整理は手続きが柔軟で迅速に進められる反面、全債権者の同意が必要となるため、調整が難航する場合もあります。
会社が債務超過に陥り、経済的に破綻している場合、どの倒産手続きを選択するかは、企業の規模や負債の状況、再建の希望などによって異なります。
どの手続きを選択すべきか?手続きの流れと選択基準
会社が倒産に至る状況にはさまざまなものがあり、それに応じて選択すべき倒産手続きも異なります。倒産手続きは、会社の状況や事業再生の可能性、債権者との関係性によって大きく変わるため、どの手続きを選ぶかは非常に重要な決断です。倒産手続きは大きく「清算型」と「再建型」に分類されます。
1. 破産手続きの流れ(清算型)
破産手続きの流れ(清算型)
- 破産申立て
会社が破産を申し立て、裁判所による破産手続開始決定の後で、手続きを開始します。 - 破産管財人の選任
裁判所は破産管財人を選任し、会社の財産を調査します。 - 債権者集会
債権者が集まり、破産財産の分配方法などについて議論されます。 - 財産の分配
売却された財産は、債権者に公平に配分されます。 - 破産手続終了
すべての資産が売却され、負債が整理されると手続きが終了します。
2. 特別清算の流れ(清算型)
特別清算の流れ(清算型)
- 解散決議・清算人選任
株主総会で解散を決議し、清算人を選任します。 - 特別清算申立て
清算人が裁判所に特別清算を申し立てます。 - 債権者協議・負債整理
債権者と協議し、負債の整理を進めます。 - 資産の分配
資産を売却し、債権者に配分します。
3. 民事再生手続きの流れ(再建型)
民事再生手続きの流れ(再建型)
- 申立て
会社が民事再生手続きを裁判所に申し立てます。 - 再生計画案の提出
会社は再生計画を策定し、債権者に提示します。 - 債権者集会
再生計画案が債権者に承認されると、計画が進行します。 - 再生計画の実施
再生計画に基づいて債務の返済を行い、会社は再建を目指します。
4. 会社更生手続きの流れ(再建型)
会社更生手続きの流れ(再建型)
- 申立て
株式会社が裁判所に会社更生手続きを申し立てます。 - 更生計画案の提出
更生管財人が経営改善策を盛り込んだ更生計画を策定し、債権者に提出します。 - 債権者集会での承認
債権者が更生計画に賛同し、計画が実行されます。 - 事業再建
更生計画に基づき、事業の再建が進められます。
5. 個人事業主や経営者個人の自己破産(参考)
個人事業主や会社経営者が個人として負債を抱えている場合、自己破産の手続きを利用することができます。これは法人の倒産手続きとは異なり、個人の債務整理手続きです。
6. 選択肢を決める際のポイント
どの手続きを選ぶべきかは、会社の状況に応じて決まります。以下の点を考慮して選択することが大切です。
・会社の再建可能性
会社が再建可能かどうかを見極めて、民事再生や会社更生の手続きを選ぶか、法人破産を選択するかを判断します。
・事業を継続したいかどうか
事業の継続を希望する場合は再建型手続きを、清算を選ぶ場合は法人破産や特別清算を選択します。
・債権者や関係者の同意
特別清算は債権者の同意が必要です。
会社倒産の手続きにはさまざまな選択肢があり、どの方法を選ぶかによってその後の処理が大きく異なります。倒産手続きは「清算型」(破産・特別清算)と「再建型」(民事再生・会社更生)に分かれ、それぞれに特徴と選択するポイントがあります。再建を目指すのか、事業を終わらせるのか、状況に応じて最適な方法を選択することが重要です。また、弁護士が受任することで、一連の手続や書類の取得や作成・提出を代行することができます。
社長の自己破産とは?その影響と対処法を理解する
社長が自己破産を選択することは、本人の経済状況や会社の経営に大きな影響を及ぼす場合があります。法律上、会社(法人)と社長(個人)は別人格のため、社長が自己破産しても会社自体は存続可能ですが、実際には社長が会社の債務の連帯保証人となっているケースが多く、当然のことながら会社の運営や存続に影響が及ぶことも少なくありません。ここでは、社長が自己破産した場合にどのような影響が生じるのか、またその後どのような対処が必要かを解説します。自己破産による影響や注意点を理解し、適切な手続きを進めるためのポイントを押さえておきましょう。
社長個人が自己破産を申請する理由
会社が倒産すると、事業に関連する債務は原則として法人が負担しますが、社長が個人保証や連帯保証をしている場合、会社の負債が社長個人の財産にまで及ぶことがあります。このような場合、社長が個人で自己破産を申し立てる可能性が生じます。この自己破産の手続きを通じて、社長個人の生活を守り、債務整理を行うことができます。
1. 個人保証による債務が残る場合
多くの社長は、会社の資金調達の際に個人保証を立てることがあります。会社が倒産すると、個人保証をしている社長に対して金融機関等から返済請求がなされます。多額の借金を抱えることになり、生活が困窮するリスクが高まります。そのため、社長が個人で自己破産を申請することで、個人保証の負債を整理し、免責を受けることができます。
2. 個人債務の整理と生活再建
会社倒産後、社長は個人保証債務やその他の借入を抱えることが多く、経済的な負担が大きくなります。自己破産を申請することで、個人の借金も整理され、再スタートを切るための環境を整えることができます。必要最低限の生活費や財産(99万円以下の現金や一定の生活必需品など)は保護されます。
3. 家族や保証人への影響
社長が自己破産しても、家族が保証人でない限り、家族に直接的な返済義務は生じません。ただし、家族が保証人になっている場合は、家族にも返済義務が及ぶため注意が必要です。保証人となっている家族がいる場合は、家族も債務整理を検討する必要があります。家族が保証人でない場合は、破産による影響は原則として社長個人にとどまります。
4. 事業の再建を目指す場合
自己破産を申請しても、すぐに新しい事業を始めることは簡単ではありませんが、経済的な立場をリセットすることで、再起を目指す準備ができます。借金を整理した後の生活を支えるために、法律の専門家だけでなく、中小企業診断士などビジネスの専門家と共に将来の計画を立てることが重要です。
会社の倒産が原因で社長が個人で自己破産を申請する理由は、個人保証による多額の借金や生活再建など、様々な要因が考えられます。自己破産は、借金の免除を受けるだけでなく、再スタートを切るための重要な手段でもあります。ただし、個人での債務整理の方法は、自己破産のみならず、個人再生や任意整理といった方法もあります。一人で判断せず、専門家である弁護士や司法書士に相談し、今後の生活設計や事業計画を慎重に立てることが必要です。
社長の自己破産が会社や従業員に与える影響
社長の自己破産は、個人の問題にとどまらず、会社や従業員にも大きな影響を与える可能性があります。法律上は会社(法人)と社長(個人)は別人格であり、社長が自己破産しても会社自体が自動的に倒産したり、業務が停止するわけではありません。しかし、実際には社長が会社の借入の連帯保証人となっている場合や、社長個人の信用が会社の信用に直結している場合、会社の経営や資金調達に大きな影響が及ぶことがあります。
1. 会社の信頼性への影響
社長が自己破産を申し立てると、会社の信用が損なわれる可能性があります。特に中小企業では、社長個人の信用が会社の信用に直結していることが多く、取引先や金融機関から「経営が不安定である」と見なされる場合があります。
対処法としては、社長が破産手続きに入る前に、会社の経営状況を整理し、透明性を持って取引先や従業員に状況を説明することが重要です。また、信頼を維持・回復するために、弁護士などの専門家に相談し、会社としての経営体制を見直すことが求められます。
2. 会社の資産や資金調達への影響
社長が会社の借入の連帯保証人となっている場合、自己破産により個人資産が差し押さえられることがあります。その結果、会社の資金調達にも支障をきたす可能性が高くなります。特に、銀行や金融機関からの融資を受けている場合、社長の破産が会社の資金繰りに直結します。
会社が借入金を滞納しているなど、返済に困っている場合、社長の破産手続き前に、取引先の機関を確認しておきましょう。会社としての資金調達計画を見直し、他の資金源を確保することが重要です。また、必要に応じて、事業再生計画をきちんと立て、これまで以上に専門家と連携して破産手続きの影響を最小限に抑える方法を模索しましょう。
3. 従業員への影響
社長の自己破産のみでは、会社が存続している限り、従業員の雇用や給料の支払いに直接の影響はありません。しかし、会社も同時に倒産した場合には、従業員は解雇され、未払い給与や退職金がある場合は破産手続きの中で優先的に支払われます。会社に資産が残っていない場合は、労働者健康安全機構の「未払賃金立替払制度」を利用できる場合があります。
いずれにせよ、従業員の不安を解消するため、社長自身が説明会を開くことが大切です。会社の体制や業績を改善し、従業員が安心して働ける環境を整えるために、必要に応じて事業再生のための専門家を雇うことも検討しましょう。
4. 経営権の移転や社長交代の問題
社長が自己破産した場合でも、会社法上は直ちに社長の地位を失うわけではありません。ただし、実務上は会社の信用や経営体制への影響から、経営者交代や経営体制の見直しが必要となるケースが多いです。
経営を継続するためには、事前に後継者を決めておくことも重要です。また、破産手続きを行う前に、会社の経営体制を見直し、適切な経営者や専門家に助言を求めることが望ましいです。
社長の自己破産が会社に与える影響は、会社の信用問題や資金調達、従業員の雇用にまで波及する可能性があります。ただし、法律上は会社と社長は別人格であり、社長の自己破産だけで会社が自動的に倒産するわけではありません。そのため、社長の破産手続きが始まる前に、早期に専門家と相談し、会社の財務状況や経営計画を見直すことが非常に重要です。
どちらを選択すべきか?経営者の判断基準
経営危機で経営者が苦しい状況にある時は、そのタイミングで会社倒産や自己破産という重大な選択を迫られることがあります。どちらを選択すべきかは非常に重要な決断であり、それぞれに異なる影響とリスクが伴います。ここでは、経営者がどのように判断すべきかを整理します。
1. 自己破産を選ぶ場合のメリットとデメリット
メリット
・個人の借金が免除される
社長個人が会社の債務の保証人となっている場合や、個人で借金を抱えている場合、自己破産により原則として借金が免除されます。
・再生のチャンス
免責が許可されれば、過去の借金から解放されて再出発が可能です。
デメリット
・個人財産が失われる
自己破産を行うと、原則として個人の財産は処分されますが、一定の自由財産は残されます。
・信用情報や職業制限
自己破産の記録は信用情報に残り、一定期間金融機関からの借入れが難しくなります。また、士業や一部の職業で資格制限が生じる場合があります。
2. 会社倒産(法人破産)を選ぶ場合のメリットとデメリット
メリット
・会社の債務が消滅する
会社の財産を清算しても債務が残る場合、会社の消滅とともに会社の債務も消滅します。
・法人の責任が原則限定される
社長が会社の債務の保証人や連帯保証人でなければ、社長個人の責任は原則としてありません。
デメリット
・会社の信頼失墜
倒産した会社の信用がなくなり、取引先や従業員に多大な影響を与えます。
・社長が保証人の場合は個人責任が残る
社長が会社の債務の保証人や連帯保証人となっている場合、会社倒産後も個人で債務を負うことになります。
3. 経営者が選ぶべき選択肢の判断基準
経営者が自己破産と会社倒産を選ぶ際の判断基準として、以下の点を考慮することが重要です。
・個人の借金や保証債務の有無
社長個人が会社の債務の保証人となっている場合や、個人で多額の借金を抱えている場合は、自己破産も検討が必要です。
・会社の将来性
会社に再建可能性があれば、倒産を避けて再生手続き(民事再生など)を検討することも重要です。
・社会的責任や影響
倒産により従業員や取引先に与える影響、今後の再起の可能性なども考慮しましょう。
社長が自己破産と会社倒産のどちらを選ぶべきかは、個人の財政状況や会社の現状、保証債務の有無などに大きく依存します。両者のメリット・デメリットを十分に理解し、経営者としての責任を考えた上で選択する必要があります。
まとめ
破産手続きには、会社を対象とした「法人破産」と、個人を対象にした「自己破産」があり、それぞれ手続や書類、影響が及ぶ範囲について違いがあります。また、会社が経営難に陥り、債務の返済が困難になった場合に、法人破産を選択するのか、同時に社長が自己破産の手続きを進めるのか、どちらを選ぶべきかは会社や経営者の状況によって異なります。
1. 法人破産とは?
法人破産は、会社(法人)が破産申立てを行う手続きです。会社が抱える負債が返済できない場合、法的に事業を終了し、すべての資産を清算して債権者に配当します。破産手続きが終結すると、法人格が消滅し、残った負債も消滅します。
法人自体が対象となる手続きで、代表者や役員個人の財産には原則として影響しません。ただし、代表者が会社の債務の連帯保証人となっている場合は、法人破産後も個人に返済義務が生じます。破産手続きが開始されると、破産管財人が選任され、法人の財産管理や処分、債権者への配当が行われます。
法人破産の流れ
- 破産申立て
- 破産手続きの開始と破産管財人の選任
- 財産の調査・売却
- 債権者への配当
- 破産手続きの終結(法人格の消滅)
2.自己破産とは?
自己破産は、個人が借金を返済できなくなった場合に行う破産手続きです。法人とは異なり、個人の財産が対象となります。自己破産を申請すると、個人の財産(自由財産を除く)が清算され、一定の条件を満たすと免責(借金の免除)が認められます。
自己破産後、裁判所の免責決定が下されれば借金が免除されますが、浪費や詐欺行為があった場合などは免責が認められないこともあります。自己破産後、一定の職業制限がかかることがあります(例:弁護士や公認会計士など)。
自己破産の流れ
- 破産申立て
- 破産手続きの開始と管財人の選任(場合による)
- 財産の調査・売却(自由財産を除く)
- 免責審査・免責許可(借金の免除)
- 破産手続きの終了3. 法人破産と自己破産の主な違い
対象となるのは?
・法人破産:会社(法人)を対象にした手続き
・自己破産:個人を対象にした手続き
財産の影響
・法人破産
法人の財産が清算されるが、代表者個人の財産には原則影響しない。
ただし、連帯保証人の場合は個人に請求が及ぶ。
・自己破産
個人の財産が清算され、一定の自由財産(99万円以下の現金や生活必需品など)は残されます。
負債の免除
・法人破産:法人格の消滅とともに債務も消滅し、免責手続きは不要。
・自己破産:免責許可決定により借金が免除されます。
職業制限
・法人破産:職業制限はありません。
・自己破産:破産手続き中は一部の資格・職業に制限があります。
4. どちらを選ぶべきか?
法人破産と自己破産は、それぞれ異なる目的と条件で行われる手続きです。法人が倒産する場合は法人破産を選択し、代表者が会社の債務の連帯保証人となっている場合や個人の借金が返済困難な場合は自己破産も検討する必要があります。特に中小企業では、法人破産と代表者個人の自己破産を同時に申し立てるケースが多く見られます。
法人破産と自己破産は、それぞれの対象や目的が異なりますが、一般にいずれも経済的に困難な状況を整理するための重要な手続きです。どちらを選ぶべきかは、会社や経営者の状況、業種によって異なるため、専門家である弁護士に相談し、最適な手続きを選択することが大切です。会社の倒産や個人の債務整理を検討している場合は、早めに専門家に相談して、適切な対応を取りましょう。
大阪にある川端法律事務所は、法人や事業者の破産を専門とする事務所です。経営が厳しい状況にある取締役の方や、廃業をお考えの方の依頼を受け、数多くサポートさせていただいております。平日のみならず、土日でも時間を問わず、電話やメールでのご相談を無料で受付しておりますので、まずはお気軽にご相談ください。