大阪で法人・個人事業主の破産相談なら弁護士法人川端総合法律事務所へ > 破産相談について > 法人破産とは?自己破産や他の倒産手続きとの違いを解説

法人破産とは?自己破産や他の倒産手続きとの違いを解説

法人破産は、経営者にとって非常に重要な決断であり、慎重に進めなければならない法的手続きです。
事業が経済的に行き詰まり、返済困難な状態に陥った場合、法人破産は選択肢の一つとなりますが、手続きの詳細や法人破産後の従業員や家族の生活へ影響、また自己破産との違いや、他の倒産手続きとの違いについて理解しておくことが不可欠です。

この記事では、会社経営をされている方に向けて、法人破産の基本的な概要から、実際にどのような手続きが必要なのか、詳しく解説します。破産手続きの流れを理解し、どのタイミングで弁護士に相談すべきかを見極めましょう。ぜひ参考にしてください。

法人破産とは?その基本と必要な知識

法人破産は、企業が経済的に立ち行かなくなった際に選択する清算手続きです。破産手続きを行うことで、法人の債務を法的に整理し、会社を清算します。手続きでは、裁判所が選任した破産管財人が財産を換価処分し、債権者に平等に配当します。

法人破産の特徴

  • 法人格の消滅
    手続き完了後、会社は登記簿から抹消されます
  • 強制清算
    残余財産の有無にかかわらず、必ず清算が行われます
  • 債権者平等の原則
    特定の債権者を優遇する行為(偏頗弁済)は禁止されています

手続きの流れ

1.弁護士への相談と必要書類の準備
2.
裁判所への破産申立て
3.破産管財人による財産調査・換価
4.債権者への配当と法人格消滅

適切な対応のためには、弁護士への早期相談が不可欠です。特に債務超過が明白な場合、役員報酬の支払い停止や従業員解雇のタイミングなど、法的リスクを回避するための判断が必要となります。

法人破産の定義と基本概念

法人破産とは、企業が支払不能または債務超過に陥った場合に、裁判所の手続きにより法人を清算する制度です。これにより法人格が消滅し、残余財産がある場合は債権者へ平等に配当されます。

法人破産の基本的な特徴

① 法的清算手続き

・企業の全財産を換価処分し、債権者への配当後に法人格を消滅させる
・再建を目的とする場合は「民事再生」や「会社更生法」を別途検討

② 破産管財人の役割

・財産が存在する場合、裁判所が選任した破産管財人が財産管理・換価を実施
・財産がない場合は「同時廃止」となり管財人なしで手続き終了

③ 法的効果

・破産決定と同時に事業停止(継続には裁判所の特別許可が必要)
・従業員の労働契約は原則解除され、取引契約も終了

④ 手続きの流れ

1.弁護士による財務状況の分析
2.必要書類(貸借対照表・債権者リスト等)の準備
3.裁判所への破産申立て
4.管財人選任→財産換価→配当→法人格消滅

法人破産を進める際には、弁護士や専門家の支援を受けることが重要です。法律的なリスクを軽減するためにも、早期の対応が求められます。

「法人破産」と「自己破産」の違い

法人破産自己破産は、いずれも借金の返済が困難になった場合の法的手続きですが、対象や手続きの流れ、法的効果に大きな違いがあります。

法人破産とは?

法人破産は、法人(会社)が借金を返済できない場合に行う手続きです。法人の経営者が破産申立てを行い、法人の財産を換価して債権者に配当します。破産手続開始決定時に法人は解散し、手続き終了後に法人格が消滅します。なお、法人代表者が会社の債務について連帯保証人等になっている場合は、法人破産後に代表者個人が自己破産等の手続きを行う必要が生じることがあります。

自己破産とは?

自己破産は、個人(個人事業主を含む)が借金を返済できない場合に行う手続きです。自己破産を申請すると、裁判所による免責許可決定が出れば、原則として借金の支払い義務が免除されます。ただし、税金や養育費など一部の債務(非免責債権)は免除が認められません。また、生活必需品や99万円以下の現金などの自由財産は手元に残せます。財産や負債の総額により管財事件となる場合があり、注意が必要です。

主な違い

法人破産

・対象:法人(会社)
・手続き:法人の財産を換価・配当し、法人格が消滅
・免責:免責手続きなし(法人消滅で債務も消滅)
・財産の扱い:すべての財産が処分対象

自己破産

・対象:個人(個人事業主含む)
・手続き:個人の財産を換価後、免責許可決定で債務免除
・免責:裁判所の免責許可で債務免除(非免責債権を除く)
・財産の扱い:自由財産(生活必需品・99万円以下の現金等)は残る

法人破産と自己破産は手続きの対象や法的効果が異なります。法人破産は法人自体の清算・消滅を意味し、自己破産は個人の借金を免除する手続きです。代表者が法人の債務の連帯保証人等となっている場合には、法人破産と同時に自己破産等が必要となることがあります。それぞれの状況に応じて適切な手続きを選ぶため、ご自身の不安を解消するためにも専門家への相談をおすすめします。

代表者の自己破産は必要か

法人破産をしても、代表者が必ずしも自己破産する必要はありません。ただし、代表者が会社の債務の連帯保証人等になっている場合は、法人破産後に代表者個人が支払いを求められるため、返済が困難な場合には代表者も自己破産等の手続きを行う必要があります

法人破産を検討する理由とタイミング

法人破産を検討する理由とそのタイミングについては、企業が経営困難に直面した際に非常に重要な決断をする要素となります。

法人破産を検討する理由

1.経営資源の枯渇

資金繰りが悪化し、事業の継続が難しく、運転資金の調達が不可能になった場合、債務整理の一環として法人破産を検討します。これにより、事業活動を停止し、法人の債務を法的に清算することができます。

2.支払い義務の圧迫

借金の返済が追いつかず、資産を使い果たしても返済できない場合、法人破産によって法人の債務が消滅します。ただし、経営者や保証人が個人的に責任を負っている場合は、個人の債務として残るため、別途自己破産等の手続きが必要となることがあります。

3.債権者からの取り立て

債権者からの督促や法的手続き(債権を回収するための訴訟や差押え)が始まっている場合は、法人破産を申立て、裁判所による破産手続開始決定がなされると、強制執行等が中止されます。

法人破産を検討するタイミング

1.返済の見込みが立たない時

事業の継続が難しく、返済の目途が立たない場合、早期に破産手続きを始めることで、債務の圧迫を減らし、後の手続きがスムーズに進むことを期待できます。

2.事業再生が不可能な場合

経営再建や他の債務整理手段(会社更生や民事再生)では立ち直れないと考える場合、法人破産を選択することが適切です。再建の可能性がない場合、早期に破産手続きを行うことで、事業の負担を最小限に抑えることができます。

3.経営者個人の責任が問題となる場合

経営者が法人の債務について個人的に保証人となっている場合、法人破産後も個人の債務が残るため、個人の財産を保護するには自己破産等の手続きも検討する必要があります。

法人破産は重大な決断ですが、適切なタイミングで手続きを行うことで、事業の早期整理が可能になり、経営者や社員への影響を最小限に抑えることができます。家族や従業員に迷惑をかけないためにも、弁護士に相談し、状況に応じた最適な対応を選ぶことが重要です。

法人破産手続きの流れと必要な準備

法人破産手続きは、企業が経営破綻に直面した際に行う法的手続きで、事業の清算や債務整理を行います。この手続きを進めるには、次の具体的な流れを理解し、必要な準備を整えることが重要です。

法人破産の手続きをステップごとに解説

法人破産は、企業が経営難に陥り、借金の返済が不可能になった場合に、法的手続きを通じて負債を整理し、清算するための方法です。法人破産の手続きを段階を追って解説します。

1.弁護士への相談

まず、破産手続きを進める前に、専門の弁護士に相談することが重要です。弁護士は、企業の財務状況を精査し、破産手続きが最適な選択かどうかを判断します。

2.債権者への通知・従業員解雇等の準備

破産申立て前に、債権者への通知(受任通知の送付)や、従業員の解雇手続き、テナントの明渡しなど、必要な準備を行います。

3.破産申立ての準備

破産申立てには、会社の財務情報や債権者のリスト、その他必要な書類を提出する必要があります。弁護士が書類作成をサポートし、必要な情報を整理します。

4.裁判所への申立て

準備が整ったら、裁判所に破産申立てを行います。裁判所は、申立て内容を審査し、必要に応じて審尋等を経て破産手続きの開始を決定します。

5.破産管財人の選任

裁判所は、破産管財人を選任し、事業の清算を任せます。破産管財人は、会社の資産を管理し、債権者への配当を行います。

6.債権者集会

破産手続きが進むと、債権者集会が開かれます。この集会では、破産管財人が手続きの進行状況や配当計画などを報告し、法人代表者には出席の義務があります。

7.資産の売却と配当

破産管財人は、会社の資産を売却して得た資金を債権者に配当します。配当の順番は法律で決められており、優先順位が設定されています。

8.破産手続きの終了

すべての資産が清算され、債権者への配当が完了すると、破産手続きは終了します。法人格が消滅し、会社は法的に存在しなくなります。

法人破産は複雑で専門的な手続きが多いため、専門家のサポートを受けることが非常に重要です。弁護士が手続きを代行することで、事業の清算をスムーズに行うことができます。

必要書類の準備と申立ての方法

法人が破産申立てを行う際、適切な手続きと必要書類の準備が重要です。法人破産は、法人が借金を返済できなくなり、経済的に破綻した場合に、裁判所に申し立てをして法的に債務を整理・清算する手続きです。法人破産を申し立てるために必要な書類と申立て方法について説明します。

必要書類の一覧

  • 破産手続申立書(裁判所に提出する正式な申立書)
  • 債権者一覧表(すべての債権者・債権内容・金額を記載)
  • 財産目録(会社が所有する全財産を詳細に記載)
  • 過去数期分の決算書(貸借対照表・損益計算書等)
  • 法人税申告書・納税証明書
  • 法人登記簿謄本(登記事項証明書)
  • 不動産登記簿謄本や賃貸借契約書等の契約書類
  • 預貯金通帳のコピー等の資産証明書類
  • 代表者の保証人資料や個人財産資料(必要に応じて)

申立ての方法

1.弁護士に相談

法人破産は複雑な手続きであり、弁護士に相談し、書類の準備や手続きを依頼することが一般的です。

2.裁判所への申立て

弁護士が代理人として、所轄の地方裁判所(本店所在地を管轄する裁判所)に破産申立てを行います。この際、裁判所へ「予納金」の納付も必要です。

3.破産手続きの開始決定

裁判所が申立て内容を審査し、要件を満たしていれば破産手続き開始決定を出し、破産管財人が選任されます。以後、会社の財産管理・処分権は破産管財人に移ります。

破産手続き後

破産手続きが開始されると、法人の財産は破産管財人によって管理され、債権者への配当が行われます。手続き終了後、法人格は消滅します。

申立てを行う際には、事前に弁護士としっかり相談し、金融機関の書類など必要書類を正確に準備することが大切です。法人破産は、経営者や関係者にとって大きな決断ですが、適切に進めることで新たな人生の再出発につなげることが可能です。

弁護士選びと依頼のポイント

法人破産は企業にとって重要な決断であり、専門的な知識と経験を持った弁護士のサポートが欠かせません。適切な弁護士を選ぶことで、破産手続きをスムーズに進め、経営者や関係者の負担を軽減することができます。弁護士選びと依頼時のポイントと注意点を押さえておきましょう。

1.経験と専門性の確認

法人破産に特化した経験豊富な弁護士を選びましょう。企業破産に関する法律や手続きは複雑であり、一般的な破産手続きと異なる点が多いため、専門知識が必要です。また、企業法務の分野にも精通していることが望ましいです。

2.初回相談を活用

多くの弁護士事務所では初回相談が無料または低価格で提供されています。この機会に、弁護士の対応や説明がわかりやすいかどうかを確認しましょう。また、過去の実績や事例を質問して、信頼できる弁護士かどうかを判断します。

3.費用の確認

法人破産の費用は事務所によって異なります。手続きにかかる費用を事前にしっかりと確認し、透明性があるかどうかを確認しましょう。また、分割払いが可能かなどの柔軟な支払い方法についても確認しておくと安心です。

4.信頼関係の構築

破産手続きは長期間にわたる場合があり、弁護士とのコミュニケーションが非常に重要です。信頼できる弁護士と契約することで、手続きが円滑に進み、適切なアドバイスを受けることができます。

弁護士選びは法人破産手続きにおいて重要なステップです。手続きについてはお金もかかるため、事前にしっかりと調べ、具体的な内容については信頼できる専門家に依頼することをお勧めします。

法人破産と他の倒産手続きとの違い

法人破産は、企業が抱える債務を整理し、清算を目的とする法的手続きの一つであり、他の倒産手続きとは異なる特徴があります。特に、法人破産は企業そのものが破産を申し立てる手続きであり、他の法法とは債権回収の手段や企業の財産分配方法に違いがあります。他の倒産手続き、例えば民事再生や特別清算と比べて、法人破産は事業の継続を前提とせず、財産の処分と債務の消滅が主な目的です。各手続きにはそれぞれ異なる要件とメリット・デメリットがあり、企業の状況や目的に応じた最適な選択が求められます。

「破産」と「倒産」の違いとは?

「破産」と「倒産」は、どちらも企業の経済的な危機を示す言葉ですが、意味には明確な違いがあります。

倒産とは?

倒産は、企業が事業を継続できなくなり、支払い能力を失った状態を指します。倒産は一般的な用語で、支払いの停止や経営の破綻を意味しますが、必ずしも法的手続きを伴うわけではありません。

破産とは?

破産は、倒産した企業が法的手続きを行い、裁判所を通じて債務を整理・清算することを指します。企業が破産手続きを開始すると、裁判所の監督下で資産が管理され、債権者への配当が行われます。破産手続開始決定により、強制執行や仮差押えなどの手続きは中止されますが、財団債権(税金や手続費用等)は優先して支払われます。

法人破産は、裁判所の監督下で行われるため、倒産と異なり、法的な手続きを踏まえて企業の清算が進められます。

 特別清算とは?法人破産との違い

法人が経済的に困難に直面した際、破産手続きが必要になりますが、その方法にはいくつかの選択肢があります。その一つが「法人破産」、もう一つは「特別清算」です。これらはどちらも企業の清算を目的としていますが、その手続きや適用される状況には重要な違いがあります。

法人破産とは?

法人破産は、法人が債務超過となり、返済能力がない場合に行われる法的手続きです。主に、会社が事業を継続できない状態に陥った場合に選ばれます。破産手続きにおいては、裁判所が破産管財人を選任し、会社の財産を清算して、債権者に対して公平に配当が行われます。最終的には法人が解散し、事業は終了します。

特別清算とは?

一方、特別清算は、株式会社が解散した後、債務超過など通常清算では対応できない事情がある場合に、裁判所の監督のもとで清算人が手続きを進める制度です。特別清算の申立ては株式会社のみが対象で、債権者の一定の同意が必要となります。破産手続きよりも柔軟かつ簡易な面がありますが、会社の再建を目的とした手続きではなく、会社は最終的に消滅します。

法人破産と特別清算の違い

目的

・法人破産: 会社の消滅(清算型)
・特別清算: 会社の消滅(清算型)

対象

・法人破産: 法人全般(株式会社以外も可)
・特別清算: 株式会社のみ

申立人

・法人破産: 債務者・債権者・取締役・清算人等
・特別清算: 債権者・清算人・監査役・株主

手続進行者

・法人破産: 破産管財人(裁判所選任)
・特別清算: 清算人(株主総会等で選任)

裁判所関与

・法人破産: 強い
・特別清算: 監督あり(破産よりは柔軟・簡易)

債権者同意

・法人破産: 不要
・特別清算: 一定の同意が必要

法人破産と特別清算は、いずれも会社の清算を目的とした手続きですが、対象や進め方、必要な同意などに違いがあります。法人破産はすべての法人が対象で、債権者の同意なく手続きが進みます。特別清算は株式会社のみが対象で、債権者の一定の同意が必要です。いずれも会社の消滅を前提とした手続きであり、会社の再建を目的とするものではありません。

民事再生とは?法人破産との違い

法人破産と民事再生は、いずれも法人が経済的に困難な状況に直面した際に利用される法的手続きですが、その目的や手続き内容には大きな違いがあります。

民事再生とは?

民事再生は、企業が事業の再建・存続を目指す再建型の法的手続きです。企業は再生計画案を作成し、その計画に基づいて債務の一部免除や返済期間の延長などを行い、債権者集会での可決および裁判所の認可を経て再建を目指します。民事再生を選択することで、企業は事業活動を継続しながら債務の処理を進め、会社の存続を図ることができます。

違いのまとめ

目的

法人破産は事業の終了・法人格の消滅を目的とし、
民事再生は事業の再建・会社の存続を目指します。

手続きの内容

法人破産では破産管財人が資産を換価・分配し、
民事再生では経営陣が再生計画を策定し、債権者集会での同意と裁判所の認可を得て、事業を継続しながら再建を進めます。

企業がどちらの手続きを選ぶべきかは、その企業の財務状況や事業再建の可能性に応じて判断されます。

会社更生とは?法人破産との違い

法人破産会社更生は、いずれも企業の財務問題を解決するための法的手続きですが、その目的や手続きには大きな違いがあります。

会社更生とは?

会社更生は、株式会社のみを対象とした再建型の法的手続きです。主に大企業や上場企業など、多数の利害関係人が存在するケースで利用されます。会社更生手続では、裁判所が選任した更生管財人が会社の経営権を握り、旧経営陣は原則として退任します。更生管財人主導で負債の整理や再建計画(更生計画)が策定され、債権者や株主、担保権者など多くの関係者の利害を調整しながら事業再建を目指します。更生計画が裁判所に認可されると、債務の減免や返済期間の延長などが行われ、会社の存続が図られます。

主な違い

目的

法人破産は事業の終了・法人格の消滅を目的とし、
会社更生は事業の再建・会社の存続を目的とします。

事業の継続

法人破産では事業が終了しますが、
会社更生では事業活動が継続されます。

手続きの主体と経営権

法人破産は破産管財人が主導し、
会社更生では裁判所が選任した更生管財人が経営権を握り、旧経営陣は退任します。

債務整理と利害調整

法人破産では資産が換価され債権者に配当されます。
会社更生では更生計画に基づき、債務の減額や返済スケジュールの見直しが行われ、担保権者や株主も含めて利害関係人の調整が行われます。

対象となる会社

会社更生は株式会社のみが対象であり、主に大規模な会社が利用します。

企業の状況に応じて、どちらの手続きを選択するかが決まります。いずれも専門的な手続きであり、そのため弁護士などの専門家に相談することが重要です。

それぞれの違いと選択基準

法人破産、特別清算、民事再生、会社更生は、企業が経営難に陥った際に取ることのできる法的手続きです。それぞれの手続きには特徴と選択基準があります。以下にそれぞれの違いと選択基準を合わせて説明します。

1. 法人破産

法人破産は、企業が借金の返済ができなくなった場合に、事業を停止し、財産を清算して債権者に分配する手続きです。主に事業の継続が難しく、事業の解体を選択する場合に利用されます。

・特徴: 企業が倒産し、残りの財産を分配(清算型手続き)。
・選択基準: 事業の継続が不可能な場合。

2. 特別清算

特別清算は、株式会社が解散した後、債務超過など通常清算では対応できない事情がある場合に、裁判所の監督下で清算人が財産の整理や債務整理を進める手続きです。事業継続を前提としたものではなく、会社の消滅を目的としています。

・特徴: 解散後の株式会社が、裁判所の監督下で清算人が主体となり、債権者との協議を経て債務整理を行う(清算型手続き)。
・選択基準: 株式会社が解散し、通常清算では対応できない債務超過等の事情がある場合。

3. 民事再生

民事再生は、企業が借金の返済が難しくても、事業を継続するために裁判所の監督下で再建計画を立てて返済する手続きです。経営陣が引き続き経営を行い、事業の再生が可能な場合に選ばれます。

・特徴: 事業を続けながら再建を目指す(再建型手続き)。
・選択基準: 事業再生の見込みがあり、再建計画を立てられる場合。

4. 会社更生

会社更生は、主に大規模な株式会社が経営危機に陥った際に、裁判所が選任した更生管財人のもとで再建計画を策定・実行する手続きです。再生計画が裁判所の認可を受ければ、債権者や株主に対して強制力を持ちます。

・特徴: 裁判所の監督のもとで更生管財人が主導し、事業再生を目指す(再建型手続き)。
・選択基準: 大規模な株式会社で、利害関係者が多く、強制力のある再生計画が必要な場合。

選択基準のまとめ

  • 法人破産
    事業の継続が難しい場合、早期に事業の解体を選択する。
  • 特別清算
    株式会社が解散し、通常清算では対応できない債務超過等の事情がある場合。
  • 民事再生
    事業再建の可能性がある場合、再建計画に基づく返済。
  • 会社更生
    大規模な株式会社で再生計画を策定し、強制力を伴う再建が必要な場合。

それぞれの手続きには、目的や条件、企業の規模に応じた最適な選択が求められます。弁護士に相談し、慎重に選択を行うことが重要です。


まとめ

法人破産は、法人(会社)が経済的に破綻し、債務の支払いが不可能になった場合に、裁判所を通じて手続きを行い、会社の財産を清算し、債権者に配当する法的な手続きです。個人が行う自己破産と異なり、法人破産では会社の清算・消滅によって債務が消滅します。

1. 法人破産と自己破産の違い

法人破産は、会社として負っている債務を整理するための手続きで、事業を続けることができない場合に適用されます。一方、自己破産は個人が自らの負債を整理する手続きで、個人の財産が清算されます。法人破産では会社の法人格が消滅し、債務も消滅しますが、自己破産では裁判所の免責決定によって債務が免除されます。なお、会社の代表者が連帯保証人となっている場合、法人破産後も代表者に支払い義務が残ることがあります。

2. 法人破産と他の倒産手続きとの違い

法人破産は、民事再生や会社更生といった再建型手続きとは異なり、会社の清算・消滅を前提としています。再建型手続きは事業の継続や再生を目指しますが、法人破産は事業活動を終了させ、会社の財産を換価・配当して法人格を消滅させることを目的とします。

3. 法人破産の手続きの流れ

法人破産は、裁判所に申立てを行い、破産管財人が選任されて会社の財産を調査・換価します。その後、必要に応じて債権者集会が開かれ、管財人から手続きの進捗や財産状況の報告が行われます。最終的に債権者への配当がなされ、裁判所が破産手続きの終了を決定すると、会社の法人格が消滅します。

4.法人破産後の会社の消滅とその影響

法人破産手続が終結または廃止されると、その会社は法的に消滅します。これは、破産手続の終了によって会社の法人格が失われ、事業を継続できなくなることを意味します。消滅後の影響として、以下の点が挙げられます。

1.会社の財産の処分

破産手続中、会社の財産は破産管財人によって処分されます。この財産は債権者への配当に充てられますが、すべての債務を支払うことは難しく、配当が受けられない債権者が生じることもあります。

2.従業員の雇用契約の終了

破産手続開始後、破産管財人により従業員の雇用契約は原則として全員が解雇され、会社の消滅に伴い雇用関係も終了します。従業員は失業手当などの支援を受けられる場合がありますが、会社からの給与支払いは終了します。

3.経営者や役員の責任

会社の代表者や役員が会社の債務について個人的に返済責任を負うのは、連帯保証人等になっている場合に限られます。通常は会社の債務が消滅することで、代表者や役員の責任も消滅しますが、保証人となっている場合は個人財産が差し押さえられることがあります。

4.商号や商業登記の抹消

破産手続が終結または廃止されると、登記所により会社の登記記録が閉鎖され、商号や法人登記も抹消されます。これにより法律上その会社は存在しなくなり、会社の名義もなくなります。取引先や顧客との関係も終了します。

法人破産後は、以上のように会社自体の消滅による影響が大きいため、この先の経営者や従業員、債権者にとっても多大な影響が及びます。法人破産は、会社が事業を停止し、清算するための最終的な手続きです。経営者や社員にとっては大きな決断となるため、早めの相談をおすすめします。

大阪にある川端総合法律事務所は、法人破産を専門としており、大阪や東京だけでなく全国から、平日だけでなく土日や休日もメールや電話でのご相談をいただくことができます。業務や経営状態の悪化など、悩んでいらっしゃる方はまずはお気軽にご相談ください。

上に戻る

お気軽にご相談ください/ご相談無料

06-6364-6100 土日祝含む終日受付中 メールで相談